NISHISAITAMA PROJECT

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国道184号線などで出雲へ向かい、高速バス輪行で帰る旅

前回からの続きです。

酷道から一変して快適な国道に生まれ変わった国道184号線を通って出雲を目指してひたすら走ります。



直線的で幅広い平成時代の道路が続いていきます。微妙に下り勾配が続いていて、あんまり速度の出ないdoveplusでも、良い感じに飛ばして先へと進んでいくことができ、大変ありがたい限りですね。



こちらは志津見ダムが作り出す志津見湖。2011年に完成した比較的新しいダムで、ダムと一緒に整備された新しい国道も高規格で幅広な明るい造りになっています。



ダム本体の近くには展望台なども綺麗に整備されていて、休憩するにはちょうど良いです。



ダムのデザインも古いダムではあまり見られないような雰囲気があります。あの目ん玉のようなところから勢いよく水が放流されるシーンはちょっと見てみたいかも。

そして、ここを越えればいよいよ出雲市へと入っていきます。



風景自体は飯南町を走行していたときとそれほど変わりありませんが、出雲市の市街地が近づいてきているからか、交通量は若干多めになり、しばらく進むと、国道184号線から左へと分岐する県道39号線が登場します。



このまま直進すれば、山陰の耶馬溪ともいわれる立久恵峡を通って出雲市駅の裏へと行くことができます。しかもこのルート、かつての一畑電鉄立久恵線の廃線跡を利用したトンネルが健在で、そういう意味でもなかなか興味深いルートなのですね。

ja.wikipedia.org


立久恵線といえば、大正時代に大社宮島鉄道として出雲市と広島を結ぶ壮大な鉄道路線として計画されたにもかかわらず、結局、出雲市駅から20キロに満たない線路しか敷設されず、当然のごとく計画倒れになってしまった路線。その未成線となっている計画ルートは、まさに今回通ってきた国道184号線をトレースする経路だったことから、今回はこちらを通るべきだろうと思っていたのですが、実際に国道184号線を走ってみると交通量的にも道幅的にも走りづらそうだったのと、このルートだと予定よりかなり早めに出雲市駅に着いてしまうため、どうも気が乗らなかったのです。

一方、県道39号線は才谷トンネルという長大トンネルを抜けて一気に日本海側へ突き抜ける最速最短ルートで、あわよくば日本海沿いに北上した後に、日本最強のパワースポットと化する神在月出雲大社を経由して出雲市駅へ行くこともできてしまいそうな魅惑のルート。

交差点でしばし考えた上で・・・



トンネルを抜けることにしました。

延長2422メートルの長大トンネル。doveplusで走行するトンネルとしては過去最長で、しかも歩道などが存在しないトンネルではありましたが、下り勾配の続く直線トンネルだったおかげで、特に問題無く通り抜けることに成功(安全のため、前も後ろもメチャクチャ光らせて走りましたが)。

 



トンネルを抜けるとすぐに、山陰自動車道の建設現場が現れました。この高速道路が完成し、無料で提供されたりすると山陰本線的には厳しい展開になりそうですが、実際のところはどうなんでしょうか(一方、国道の交通量が減ってサイクリング的には快適になりそう)。

山陰道のインター建設地から、勢い付けて一気に下っていくと、大きな湖が現れます。



こちらは神西湖(jinzai)という汽水湖。その背後には、出雲大社一畑薬師などを抱える神々しい島根半島の山々。

この神西湖の西側をぐるっと回って、出雲大社方面へと進んでいる道中、ふと思い立ち、改めて地図を見返してみると「このまま出雲大社へ向かうと時間的に厳しいのでは・・・?」ということに気づきました。

現時点で14:30。出雲市駅には余裕見ても17時には到着しないと帰りの予約した高速バスに乗る事ができなくなってしまうので、残りは実質2時間半。神西湖から出雲大社までは平坦な道のりで10kmだから40分見ておけば良く、出雲大社から出雲市駅も10km弱なので、こちらも40分ぐらい。出雲大社に立ち寄ったりする時間を考慮しても2時間あれば余裕だろうけれども、さすがに飯南町の山の中からここまで、50kmぐらい走っている身にはちょっと厳しいし、最後までペースを崩せず予定通りに最後まで走れるかどうかも微妙なところ。

じゃあ、出雲大社から一畑電車輪行して出雲市へ行けばいいのではと思い調べてみると、こちらは電車のダイヤ的にどうやっても無理がありそうで、あれこれ考えているうちにめんどくさくなって、そのまま出雲市の駅へ直行することにしました。

これなら、初めから立久恵峡を通って山陰の耶馬溪なる景勝地を存分に堪能してから、立久恵線の廃線跡でも追いかけた方が良かったかもしれませんが、まあ良いでしょう・・・良いのか?

・・・

神西湖の湖畔から、失意のまま、ゆっくり1時間ほどかけて出雲市駅に到着。



さてと、帰りの高速バスに乗るための時間まではまだ1時間半もあります。となれば、ここはもう昨年立ち寄れなかった温泉に入るしか無いでしょう! 

ic-yas.hatenablog.com


ということで・・・



出雲駅前温泉らんぷの湯。さきほど、いろいろあれこれ予定を組み直していたのですが、結局のところ、〆の温泉に入りたかっただけなのですよ。神在月出雲大社を差し置いて温泉に入りてぇとか、罰当たりと言われても仕方ないね!

ちなみにこちらに立ち寄るのは2度目だったりします。

ic-yas.hatenablog.com


前回は、今は亡き三江線に乗車し、サンライズ出雲で東京へ戻るついでに立ち寄ったのでした。また三江線サンライズ乗りたい・・・・三江線はもう無理でもサンライズならまだ乗れるチャンスはある・・・



らんぷの湯の温泉自体は茶褐色の鉄分豊富なナトリウム泉で大変気持ちが良く、風呂自体はそこまで広くないものの、場所の取り合いになるような程の混雑具合ではなかったので、シーズン中の土日でも気軽に立ち寄れるかと思います。多少混雑していたとしても、出雲市駅というターミナル駅にほぼ直結というロケーションと、質の良い温泉に入れるというこの条件だけでも、立ち寄る価値はかなりあります! 特にこの夜行列車がほぼ壊滅状態のこの日本国内で、夜行列車に乗り込む前に入る温泉とか贅沢の極みですよ。

ところで出発前夜、帰りは17:23発の鈍行に乗って宍道駅まで行き、宍道駅に17:43に着けば宍道インター18:03に出る高速バスに余裕で間に合うだろうと計画を立てていたのですが、湯船に浸かりながら改めて予定を脳内で確認してみると、どう考えても宍道インター18時過ぎの到着は無謀な計画ではないのかということに気づきました。

これはまずいだろうと、少し早めに風呂を出て(などと言いつつ1時間ぐらい入浴していた)、Googleマップ片手に調べてみたら、本格的に厳しいことが判明・・・

これまたややこしい説明をすると、山陰本線宍道駅から山陰道宍道インターまでは、1.6kmの登り坂。徒歩では25分以上かかるのでこの時点で完全アウトではあるものの、doveplusという自転車を使えば約10分で到着可能。ただし

輪行袋から取り出す」→「組み立てる」→「走る」→「折りたたむ」→「輪行袋にしまう」

という、一連の流れを考慮すると、あと7分は見ておきたいので、そうなると最速でも17分かかる計算であり、何か一つでも破綻したら乗り遅れてしまうことは、火を見るよりも明らか。



さらに、「初めて降りる駅」「初めて通る道」「初めて乗るバス停」の3本立てとなれば、どう見ても移動時間とは別に15分ぐらいの余裕は欲しいし、代案はないかと調べてみたら、1つ前に17:19に宍道駅にも止まる特急やくもがあったので、急遽こちらに乗る事にしました(これがなかったら、宍道駅からすぐ乗れるかどうかも分からないタクシーしか手が無かった)。

相変わらずの綱渡り行程ですね・・・・これが楽しいんですけど、こんなの一人旅だからできるんですね。ふたり旅なら殴り合いのストリートファイトになってもおかしくない気がします。



まさか、また乗る事になるとは思わなかった、特急やくも。

なんでも、旧型車両はもうそろそろ運用終了するとかで、一区間とは言え、このタイミングで最後に乗ることができたのは何かのご縁かも。



しかし、一区間であっても特急料金は容赦ないですね。

地方にいると距離感覚バグりますけど、出雲市駅から宍道駅は、距離的には東京駅から蒲田駅大阪駅から茨木駅ぐらいの移動なので、これに760円も余分に出して特急乗るとか、首都圏や関西圏などにいたら考えられない豪華な移動です。


行き違い列車待ち合わせのため2分遅れで出発した特急やくも。でもそこは、国鉄時代の車両とは言えども特急、10分ちょっとであっという間に宍道駅に到着。いやいや速いなぁ・・・というか、2分遅れた時点で、鈍行に乗っていたら詰んでましたね!



おお、俺のことを歓迎してくれるのか! と思ってよく見たら、左上に小さく「瑞風が」って書いてあったので違いました(そりゃそうだ)。なお、瑞風というのはJR西日本ご自慢の豪華クルーズ列車です。何やかんや言われてますけど、やはり一度は乗ってみたいところではあります。

www.twilightexpress-mizukaze.jp

 



急いでdoveplusを展開して、高速宍道バス停を目指して走ります。

さっそくGoogleマップが示すとおりにdoveplusで走って行くと、線路を横切ろうとしたところで突然踏切が鳴り出しました。しかも、やってきたのは・・・



木次線

この木次線は先ほど乗るつもりで乗らなかった、出雲市駅発17:23に接続している列車のようです。

木次線の線路を渡って、薄暗い宍道の細い道をひたすら右に左に走っていくこと7分ぐらいで、高速バスの乗り場を案内する標識を発見。



こんなこと、iPhoneで気軽に目的地へのルートを確認できる今の時代だからこそできる芸当で、ほんの15年ぐらい前ならこんなことはぶっつけ本番ではできなかったような気がします。



ここでdoveplusを再び輪行袋に入れて、広島行きの高速バスがやってくるのを待つばかり。

なお、今までの行動を振り返ると、宍道駅で特急やくもを降りてからここまでかかった時間は15分、このあと2分ぐらいかけて輪行袋に突っ込んだので、想定通りに駅出てバス停で待機するまで17分かかったわけですし、仮に鈍行で向かっていたら、行き違い列車遅れで間に合わなかったことが分かりました。危なかった・・・

そして、定刻から数分遅れて到着した広電バスの広島駅行き高速バスに乗り、真っ暗な松江道や中国道を経由して広島方面へと帰ったのでした。



こちらは、道の駅たかので休憩中の高速バス。

ちなみに広島へ向かう高速バスに乗るなら、何もわざわざ宍道駅まで行って、さらにそこから離れた高速道路上のバス停まで行かずとも、出雲市駅から出ているバスに乗れば良いじゃないかと思う人がいるかと思います。これについては、このブログで何度か言及しているのですが、出雲市と広島を結ぶ高速バスはJRバスと一畑バスのいずれかの高速バスで、こちらの会社はどちらも輪行を明確に禁止しているのです。ホームページには「折りたたみ自転車は不可」と書いてあるので、今回のような輪行スタイルだと乗る事ができないのです。

しかしながら、広電バスは繁忙期で無ければ大丈夫とのことが事前に確認が取れていて、実際に何度も利用した実績があるので、この広電バスに乗る必要があったのです。出雲市駅から最も近い広電バスの発着ポイントが宍道駅から徒歩圏内の高速宍道バス停であり、今回のようにいろいろ乗り物を駆使してここまでやってきたのですね。

そこまでめんどくさいことするなら、素直に鉄道オンリーで帰れば良いじゃないかとも思うのですが、鉄道だけで帰るとなると、特急やくもで岡山まで出てから新幹線に乗る必要があり、料金だけでも余裕で1万円を越えるし、時間も4時間ぐらいかかる反面、高速バスなら4200円で3時間ぐらいで到着できてしまうので、よほどのことがない限りはバスを使った方が良いという事情もあったりします。

というわけで、こんなにいろいろやったわけですけれども、普通の人は折りたたみ自転車抱えて電車やバスに乗ることなどそうそう無いので、こんな事をやるアレな人もこの世にはいるんだなぁぐらいに思って頂ければ十分です笑

・・・

今回、振り返ってみれば、温泉にも入ることができたし、咄嗟の判断で無事に予定通りのバスに乗って帰ることもできたし、結果としては十分満足行く行程となりました。島根県でも出雲地方は今までもあんまり訪問していない地域ではあるので、また雪が降る前ぐらいにもう一回ぐらい訪問しておきたいところではありますね。

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