NISHISAITAMA PROJECT

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新広益線で行く美都温泉と折居駅

広島と島根県益田市を結ぶ高速バスの広益線。こちらは清流ライン高津川号という名称を持ち、高津川の源流がある島根県吉賀町まで高速道路を一気に走り抜け、そこから高津川に沿って河口の益田まで行く高速バスです。

そして、これとは別に新広益線という高速道路をそれほど走らず下道で広島県側から峠越えして益田まで山の中の国道を抜けて向かうという、なかなかにマニアックな路線バスが存在しています。通常「新○○線」なんて路線名なら、旧来よりも早くて快適な路線になるはずなのに、こちらはむしろ裏道の旧道を行くような新しい路線なのです。

そんな新広益線を調べてみると、自宅最寄りのバスターミナルである中筋バスターミナルを経由していることが判明。さっそく、この新広益線に乗って島根方面へ行ってみることにしました。



中筋駅のバスターミナルに石見交通のバスが乗り入れてくるのは珍しい光景。

新広益線は広島市内を出発した後はアストラムラインの高架下を中筋駅まで走り、そこから山陽道に入り広益線と合流してから広島道中国道を経由して40km先の戸河内ICまで向かいます。新広益線は戸河内ICで降りてしまいますが、広益線はさらにそこから40km以上進み県境を2つも超えた六日市ICまで行くため、新広益線はかなり手前で高速道を降りることがわかりますね(要するに、通常の半分しか高速道を走らない)。

戸河内ICを降りてからは、いわゆる可部線廃線跡に沿って三段峡方面まで行き、三段峡へは行かずにそのまま国道191号線を益田まで、ゆっくりトレースしながら進むという路線になります。

下道で県境を超えるとはいえ、広島の北西部の旧芸北町近辺は比較的なだらかな高原地帯であり、長距離路線バスで有名な紀伊半島を行く八木新宮特急バスや宮崎の椎葉村へ向かう路線バスのような深い峡谷の切り立った断崖絶壁を往くような雰囲気はありません。それでも、島根に入ってからの匹見峡の上部から美都温泉に抜ける区間などでは眺めの良い崖っぷちを行き、その光景は眼を見張るものがありましたが。

戸河内ICから1時間ほどかけてやってきたのが美都温泉入口バス停。今回はこちらで下車します。



広島市内から距離的にはそれほど離れていないのに、直通するまともな交通機関や道路がほとんどないので、えらく遠くまでやってきた感じがします。

まずはさっそく、温泉に入ってみることにしましょう!

というか本来、

1.旅の締めくくりに温泉入り

2.酒を飲んで、あわよくば食事してから

3.鉄道やバスで帰る

のがスジであり理想なのですが、この美都温泉と新広益線を組み合わせた輪行旅を様々な可能性を模索しながら計画を立ててみたにもかかわらず、どうやっても日帰りではサイクリング→温泉→新広益線のバスというルートが見いだせず、仕方無しに今回は最初に温泉に入ってからサイクリングスタートという変則的な行程になってしまいました。

というわけで・・・まずは温泉の前に、バス停の向かいにある道の駅で昼食を。

島根、特に石見地方の山間部は国道沿いを除くと、飲食店どころかコンビニすらほとんど無い辺境の地なので、食べられるときになにか食べておくのが鉄則です。



そういえば島根に来たら、だいたい蕎麦を食べてますね。なかなかうまい蕎麦でした。

では次は温泉です。願わくば食事後ではなく、運動後に入りたかった笑



美都温泉、湯元館。温泉自体はアルカリ性っぽい、美肌の湯という感じでした。

mito-onsen.com

内湯も広々、少し深めの露天風呂もたっぷりの温泉を存分に楽しめることができます。あとは特筆事項としては、近くの道の駅で何故かアルコール類を販売しているので、バスでの帰宅を考えるならば、風呂上がりに一杯引っ掛けていくことも可能です・・・もちろん今回はこれから自転車に乗るのでノンアルで我慢ですけども。



また、美都温泉のすぐ近くには、柴犬の祖先となった「石号」という柴犬の生誕地があるらしく、それを記念する石碑などがありました。その生誕地は山を超えた反対側にあり、doveplusでは厳しそうだったので、これはまた別の機会に行ってみることにしましょう。

それではここから、川に沿って日本海側へと抜けてみることにします。



本日のコースはこんな感じです。まあ、これで「ああ、この道ね!」って分かる人はほぼ皆無だとは思いますけども。



島根県道48号線。半分ぐらいの区間は"険道"であり、見通しの悪い狭隘な道路が続くとはいうものの、ほとんど車も走らない道でもあり、自転車やバイクならばそれなりに快適に進んでいけるでしょう。しかし、前回の石見方面に訪問したときにも思いましたが、本当に人が少ないですね・・・・



かつて人が住んでいたであろう廃屋や開けた平地がちらほらあり、何十年か前には集落があったのだと容易に推測できます。益田や浜田が大陸や朝鮮方面と貿易していたり、大阪と北海道方面を行き来する北前船が立ち寄ったりしていた時代ならともかく、山陽側が人々や物流の大動脈となっている今の時代では、致し方ないのかなとは思いますが。



美都温泉から20km、意外と好調に進んだおかげで1時間ぐらいで国道9号線山陰本線に合流できました。予定ではこの近くの三保三隅駅から帰る計画も立てていましたが、たった1時間で撤収してしまうには全然走り足りないのと、乗る予定だった山陰本線の列車が2時間近く来ないこともあり、もう少し走ってみることにしました。



島根の西の果てとはいえ、国道9号線はそれなりに交通量多め・・・でも、山陰道が開通しつつあるので、あと数年後はもう少し静かな道路になりそうです。

国道9号線を4kmぐらい進み、ちょっとした峠道を超えると、道の駅ゆうひパーク三隅が現れます。休憩がてらお立ち寄りしてみましょう。



確か何年か前にこの道の駅に立ち寄ったときは、たまたま目の前を山陰線の特急が通過したよなぁなどと考えながら、道の駅の下を通過する山陰線の線路を眺めていたら・・・



特急スーパーおきが颯爽と登場! 事前に調べていた山陰本線は鈍行だけだったこともあって特急の存在は完全に忘れていました。

道の駅のベンチで休憩しつつ今後の計画を立ててみると、すぐ近くの折居駅から山陰線に乗れば、待ち時間が1時間ぐらいで浜田まで行けることが判明。その隣の周布駅は離れすぎている上にアップダウンが続き、自転車的には少し厳しそうなルートが続きそうな反面、折居駅なら待ち時間は1時間あるけれども、駅のすぐ目の前には海岸線があって、そこで海でも眺めながら本でも読んでれば余裕で時間が潰せそうだったので、目的地を折居駅に設定して出発です。

・・・・

道の駅ゆうひパークから自転車でわずか数分。折居駅のある浜辺の集落に到着。前述の通り次の山陰線の列車までは1時間近く余裕があるので、まずは海水浴場に行ってみましょうか。



海水浴場というには、あまりにも荒々しい光景。突き出た岩場に向かって木製の橋が架かっていて、その先はちょっとした展望台になっているようです。見ての通り簡素な造りなのに波もかぶっていてスリル満点です。



この台風でも来ない限りは瀬戸内海では存在し得ない次々と押し寄せる高波と、深い青色がどこまでも続く日本海の感じが実にいいですね。特に何もしていなくても余裕で時間が潰せそうです。



この辺の海辺のキャンプ上で夕日を眺めながらキャンプしたら楽しそう。レンタカー借りて来れば余裕でできそうだし、機会があったらやってみるのもありかもしれません。

浜辺をうろうろしていたらあっという間に30分ぐらいが経過したので、そろそろ折居駅に行って締めくくりましょうか。



駅前には大海原が! ただ、駅の目の前が海岸線という感じは写真だとどうしても伝わりにくいですね。なぜか(2022年現在では)ストリートビューにも登録されていないので、興味があれば是非とも現地に来て頂きたいところではあります。



駅の待合室には、当時の切符売り場などがそのまま残されていました。外装も下手に塗り替えないで昔の状態をキープした方が良いような気がするとは感じつつも、いつまでも過去の固執するのではなく、新しいことにチャレンジする精神を私は歓迎したいです。



そしてプラットフォームからは日本海が一望できるという最高のシチュエーション。ちなみに↑の写真を撮るためだけに、自転車を駅名標の横に置いて、駅を出てから踏切を渡ってぐるっと迂回しています笑



折居駅駅ノートを見て初めて知ったのですが、この駅は、みきとP『少女レイ』のMVのモデルになった踏切のすぐ近くだったとのこと。



残念ながら曲は知っていたのに、その舞台がまさかこの折居駅だったとは知らず、上の写真の一つ隣にあたる肝心の踏切は撮影していないのですけども(この曲自体、原曲ではなく紫咲ほたるさんのカバーバージョンを数ヶ月前にたまたま知って、原曲にたどり着いていたという)。

そんな感じで時間を持て余すと思われた1時間にも及ぶ待ち時間は、あっという間に過ぎ去り、浜田行きの鈍行列車がやってきました。



この列車に乗って向かうは浜田駅

そもそも三保三隅駅折居駅から浜田駅は同じ市内で距離的にはさほど離れていないので、その気になればdoveplusで走りきることも不可能ではないのです。でも、そんなことよりも山陰本線の風光明媚な折居駅近辺の区間に僅かながらでも乗ってみたかったのですよ。なんせ前回乗ったのは14年前・・・・

 

ic-yas.hatenablog.com

当時は特急で一気に通過したし、それ以前に山側の座席だったために、ほとんど車窓は覚えていないのですよね(さらにその数年前に鈍行で移動したときの記憶の方がむしろ鮮明)。



海が近い・・・! 海岸線のギリギリの崖っぷちを時速90kmぐらいでかっ飛ばしていき、20分ほどで浜田駅に到着です。

そして、浜田駅では広島方面の高速バスに乗り換えとなります(実は浜田駅で50分待ちだったので、軽く市内観光していた話もあるのですが、記事が長くなってきたので割愛します)。



広島と浜田を結ぶ高速バスは益田方面に行く広益線とは似ていても中身は全く異なり、こちらはほぼ全区間で高速道路を走る名実共に高速バスなのですね。浜田からは休憩時間を入れても2時間弱で広島市内へと帰ることができました。

今回は新広益線に乗って美都温泉に入り、適当に日本海側に出てから山陰線とバスで帰ってこようという、ざっくりとした計画を立てたわりには、かなり楽しむ事ができたので、次回もまた山陰側の海沿いをぶらぶらとサイクリングというかポタリングしてみたいと思います! まあ、この辺は冬になると雪が積もる地域なので、やるなら来春以降になりそうですね。

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