NISHISAITAMA PROJECT

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出雲横田駅から木次線に乗って広島へ

前回からの続きです。

八川駅を後にし、国道314号線を木次線に沿ってDAHON DovePlusで下り続けると、そこそこ大きめの街が見えてきます。ここが、奥出雲町の中心地であり、旧・横田町の市街地となります。

信号機が縦型ということは、ここはかなりの豪雪地帯の予感。



街の中を見物しつつふらふら走っていると、横田町の代表駅でもある木次線出雲横田駅に到着し、今回のサイクリングはここまでとなります。



しめ縄が飾られている神社のような島根県らしい駅で、創業当時からこの形とのこと。この駅はローカル線の駅では珍しく駅員が常駐していて、このあたりから木次線も本来の鉄道としての役割を果たすようになることでしょう。

というのも、木次線出雲横田駅から宍道・松江方面は今までの3往復から10往復と本数が増えて、それなりに利用しやすくなりそうな感じである一方、広島方面へは7:58、13:11、15:52の3本という有様なので、逆方向に向かう人は乗るのが目的の人以外はほぼ皆無かと思われます。

そんな、1日3本しかこない列車のうちの2本目に乗って帰ることにしました。



見たことない色の列車が登場です。

さすがに6月の水曜日だったこともあって、宍道方面から乗客は3名、その3名は全員乗る事が目的の人たちで(皆さん時刻表やカメラ、ガイドブックなどを持ってた)、当然のように地元客は0名。

出雲横田駅を出た木次線は時速25kmという少し速い自転車レベルの速度でゆっくり広島方面へ向けて移動していきます。そして、極めつけは出雲横田駅から2駅先の出雲坂根駅で、行き違い列車など無いにもかかわらず、なんと22分も停車します(ちなみに出雲横田駅でも、行き違い列車無しで12分も停車してた)。



ここはその手の人には有名な駅で、駅の裏には延命水という名水があるほか、この駅ではJR西日本では唯一となるスイッチバックの駅となっています。簡単に説明すると、列車が2回方向転換して急な斜面を登っていくのです。

JR西日本出雲横田駅から先は鉄道マニアしか乗らないだろうし、出雲坂根駅で20分ぐらい停車すれば、楽しんでもらえるだろ」という感じでダイヤをくんでいるのでしょう。



飲めば寿命が延びると言われるホーム脇から吹き出す湧き水を飲みまくって寿命を延ばしつつ、様々な角度から駅や車両の写真を撮りまくって時間をつぶしていると発車時刻となりました。乗り込みましょうか。



出雲坂根駅を引き返すような感じでバックで出発した列車は急な坂を少し登って2段目の折り返し地点へと向かい、さらにもう一度方向転換してから再び発車します。この、スイッチバックで急斜面にへばりつきながら、ものすごいエンジン音と共にゆっくり登っていく姿をお目に掛かることはそうそう無いでしょうね(似たようなところでJR九州豊肥本線があったかな?肥薩線は無期限の運休中ですし)。

ちょうどこの区間は、先ほどの奥出雲おろちループがあるところで、車だとループ橋を高速移動できるのですが、列車だとゆっくり登って停車、方向転換してさらにゆっくり登る・・・なので、正直なところ速度的には勝負になりません。下りに関して言えば自転車というか、我がDovePlusでも余裕で勝てそうなくらい時間が掛かります。



奥出雲おろちループが見えてきました。木々の葉っぱでちょっと見づらいのが残念・・・ちなみにここ、10年ぐらい前の真冬に訪問して、そのときははっきりと見ることができました。

ic-yas.hatenablog.com
ただ、ここ最近は冬の時期は運休することが多く、↑で紹介しているような雪に埋もれる奥出雲おろちループの姿を木次線の車内から見ることはできない可能性が高いです。



緑の中に真っ赤な三井野大橋は非常に映えます。

出雲坂根駅を出て18分で、やっと三井野原駅へと到着です。ここを越えれば下り坂なので多少は速度が上がるかなとも思ったのに、あいかわらずの鈍足で、慎重に山の中を進んでいきます。



線路もこんな感じなので速度が出ないのも仕方ない。


そういえば、前回この区間を乗車したときは、比較的速い速度で走っていた記憶があるのですが(実際に前回のブログにそういう記述を残している)、今回はえらく時間が掛かるようになっていました。10年も経過すれば状況も変わってくるのでしょう。

出雲横田駅を出た木次線は1時間半弱ほどかけて、ゆっくりと終点の備後落合駅へと入っていきます。距離にして30km程度なので、5駅しかないのに単純計算で表定速度は時速20kmという路面電車レベルの状況・・・



芸備線との乗換駅の備後落合駅では、この時間に限り、双方向の芸備線の列車に乗り換え可能なので、お好きな方へと進むことができます。木次線に乗っていた3名の乗客は皆さん新見方面へと乗り換え、自分だけが広島方面へ乗車となりました。

そしてこの芸備線、新見方面から来る2往復の列車のうち、唯一まともな時間に走っている列車と言うこともあって、平日であるにもかかわらず乗客はそこそこ多く、20名程度乗っていました(もちろん全員乗る事が目的だと思います)。

平日でこれなら、6月の休日でもかなりの乗客が乗っているだろうし、18切符のシーズンともなれば積み残しが発生するのもうなずけます。

つまり、6月の平日を狙ってこの路線に乗ったのはある意味正解だったということが証明されましたね。



木次線の線路が右へと分かれていく様子。

こういう列車に乗るときは、いつもは最後尾の少し広いところに居座ることが多いのですが、今回は平日だというのに後ろの方が混み合っていたため、久しぶりに運転席横のスペースで前を見ながらの移動となりました。

備後落合駅から比婆山駅区間木次線と同様、時間をかけてめちゃくちゃゆっくり、牛歩のごとく走行していきます。



基本的には眺めの良いところでゆっくり走行するので、線路や路盤を痛めつけたくないJR西日本にとっても、景色を眺めたい乗客にとってもWin-Winなサービスであるような気がします。地元民は便利で速い並行して走る路線バスを使うと思いますし・・・

今朝方降り立った備後庄原駅を過ぎたあたりから徐々に速度が上がっていき、途中駅で高校生や老人を拾いつつ1時間20分ほどで三次駅到着です。



ここでさらに広島行きの列車に乗り換えなのですが、こちらに止まっていたのもさっきと同じ車両でした。なお、休日だとここで接続する列車は快速なので、もしかしたら違う車両かもしれません。

引き続き各駅停車の芸備線に乗って18時頃、やっと自宅最寄り駅へと到着したのでした。出雲横田駅を出発して5時間弱(休日だと快速があるので4時間半)という距離の割にかなり時間がかかるところを見ると、やはりこれを使って通常の移動を行うのは、相当厳しいでしょう・・・参考までに、車で移動するとオール下道でも3時間弱、高速使えば2時間ちょっとで移動できます。

そんなわけで、すでにまともな移動手段としての役割を終えてしまったように見える木次線の末端区間芸備線の三次以東の区間は、素人目に見てもいつ廃止になってもおかしくない状況になっています。もし興味があれば今のうちに訪問しておいた方が良いかと思います!

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