NISHISAITAMA PROJECT

傘 傘傘⊂⊃/ ̄\ ⊂⊃ 傘傘傘傘

路線バスなどで行く、雨の中のJR日本最南端の西大山駅

前回からの続きです

 

鹿児島でのテレワーク期間を終え、晴れて自由の身になったところで、残りの時間を活用し、薩摩半島の方を巡ってみることにしました。

薩摩半島は東側から南側にかけて、指宿枕崎線という日本最南端のローカル線が走っていて、鉄道でのアクセスは比較的容易である反面、西側には現在は鉄道はなく、公共交通機関を利用して枕崎方面へ向かう大半の人は、鹿児島中央から知覧を経由して一直線に枕崎へ行くか、あるいは(主に乗り鉄限定で)指宿枕崎線でぐるっと大回りするルートを取るかと思います。

なので当初の予定ではセオリー通り、鹿児島中央駅から指宿枕崎線で枕崎へ・・・と考えていたのですが、前回の記事で書いたとおり、手元には合計で5000円以上もチャージされている、ほぼ鹿児島県内でのみでしか使えない、Rapica&いわさきICカードがあるのです。

そこで、はるか昔、既に一回往復したことのある指宿枕崎線はできるだけ乗らず、鹿児島交通のバスをICカードで乗車して途中の山川駅まで指宿枕崎線をトレースしつつ、指宿枕崎線のハイライトである山川駅から先の末端部分のみを列車で移動するという良いとこどりの計画を立ててみました。




この日は午前中まで仕事の残務があったため、近くのスタバで仕事を片づけつつ、出発の時が来るのをひたすら待ちます・・・・

そして仕事をすべて片づけた正午過ぎ、鹿児島中央駅まで急いで移動し、駅のロッカーに仕事道具や不要な着替え類などを預けて、ここからやっと今回の鹿児島遠征の本番がスタートします。



だいやめで、きばいもんそ。

何を言っているかさっぱりですが、きっと仕事を終えた私にねぎらいの言葉をかけてくれているのでしょう。たぶん。

山川駅方面へ向かうバスが出る、鹿児島中央駅のバスターミナルの東16で待機していると、目的のバスがやってきました。



ここから山川駅まで2時間弱の路線バスの旅が始まります。50km程度という距離の割には意外と長丁場(表定速度は25km/hぐらい)。

自分含め3名の乗客を乗せたバスは、まず鹿児島中央駅を出てから市電の1系統の路線に沿って谷山方面へ南下して行きます。ところが鹿児島市の中心地付近では乗客はほとんど乗らず、涙橋電停を過ぎ、市電の線路と離れた辺りから少しずつ乗客が乗ってくるようになります。

先日訪問した谷山電停を過ぎれば競合相手だった市電がいなくなり、代わりに今までほとんどバス通りから見えなかった指宿枕崎線と併走するようになり、また、鹿児島市内で乗ってきた乗客がちらほらと下車していくのが確認できます。



国道の法定速度で指宿方面を目指す路線バスを、後ろから一気に指宿枕崎線普通列車が抜き去っていきました。

鹿児島中央~指宿・山川駅間の指宿枕崎線は利用客も多く、わりと新しめな車両が導入されているからか、移動の便利さ、快適さ、速さで言えば鉄道に軍配が上がりそうですね。本数も鉄道のほうがバスよりもかなり多めに設定されています。



五位野駅を越えたあたりからバスは風光明媚な海沿いの国道を進んでいきますが、この日は小雨模様の悪天候だったため眺めはイマイチ。喜入付近では巨大な石油備蓄基地の横を抜けて指宿へと目指して行きます。



鹿児島中央駅から1時間半ほどで指宿駅前に到着です。今日は天気も悪いし、指宿で降りて温泉に入るのも、それもまたありだなと一瞬頭によぎりつつも、ここでは降りずに計画通りに山川駅までもう一駅分乗り続けましょうか。



男性天国・ソープランド秘宴。

バスも通る温泉街のメインストリートに、ここまでわかりやすいストレートな表現の使用するのも珍しいような気が(あんまそっち系のことはよく知りませんけど)。

指宿市内の温泉施設やリゾートホテル、病院などに立ち寄りつつ、目的地の山川駅前のバス停に到着。バスはこの先の山川桟橋まで行ってしまうため、ここで下車しましょう。鹿児島中央駅から1140円。良い感じにICカードのチャージ分を消化できました(それでも3000円分ぐらい残ってる)。



左に見える山川湾は、いわゆるカルデラの一部で自然の湾なのですね(活火山ランクCらしい)。そして右手の山の上には、池田湖や鰻湖といったカルデラ湖もあって、北海道の有珠山周辺のような火山地帯の土地柄なのです。ただ、そのカルデラ湖周辺はバスや鉄道でのアクセスが難しく、doveplusで行けるなら行ってみようかなとも思ったのですが、ここに来て雨がどんどん強くなってきて、自転車どころではなくなってしまったという有様。



雨も降ってきたし、素直にこの先は指宿枕崎線で枕崎へと向かおうかということで、山川駅掲示されていた時刻表を確認すると・・・・なんと、枕崎行きの列車は2時間待ち

枕崎方面へ向かう路線バスも山川駅からは出ていないし、雨具も持ってきてないしどうしようかといろいろ思案した結果・・・傘を差して枕崎方面まで歩いてみることにしました(傘差し運転はしませんよ)。



なぜならば、地図を確認すると山川駅から2駅先で6kmほど行けば、JR日本最南端の西大山駅があることが分かり、2時間あれば6kmぐらい余裕で歩けるだろういうことで、いけそうだと判断したのですね。

・・・

国道226号線などを伝って雨の中、輪行袋から取り出したdoveplusを押しながら、西へと歩いて行きます(流石に約7kgのチャリを肩にかけて歩くのは無理)。



さすが火山地帯だけあって、至る所に温泉のマークが・・・ところでこの

「←3.7km 露天風呂 Open-Air Bath」

ってなんだろう。

こういうとき、晴れていれば片道3.7km、自転車でささっと行って確認できるのに、この雨の中ではそれもできず、ちょっと残念な気持ちを抱えつつ先へと歩いて行きます。

山川駅から3kmほど歩くと、一つ隣の駅の大山駅が見えてくるので、お立ち寄りしてみましょう。



駅舎も待合室もない、畑の中の無人駅といった感じで良いですね。

再び元来た道を進んでいくと、目的地の西大山駅にたどり着けます。



あいにくの天気とは言え、目の前には美しい山容を見せる開聞岳があり、それに加えてJR日本最南端の駅の碑と、日本最南端を往く指宿枕崎線の線路。この光景を拝めることができただけでも、山川駅からわざわざ歩いてここまでやってきた甲斐はありました!

願わくば、あの開聞岳の山頂まで行ってみたかったのですが、今回はどう計画しても開聞岳登山を予定に組み込むことが日程的に不可能だったので、こちらはまたいつか改めてチャレンジしましょう。仮に今日この日、登山したとしても眺めはイマイチだったでしょうし・・・

そしてここで駅の時刻表を確認すると、10分ほど待てば鹿児島中央駅方面の列車が来ることが判明(全然調べてなかった)。しかも運良く雨も止んできたので、急いで駅の反対側へと移動し、列車到着を待ちます。



指宿枕崎線山川駅より先は、このキハ47が走っているようですね。最果てを行く列車としては、やはりこういう古い気動車がよく似合うと思います。まあ、自宅付近を走る芸備線で日常的この古い国鉄車両に乗っているため、個人的にはそれほど珍しさや、ありがたみというものはないんですけど。

ちなみに、なんでわざわざ駅の反対側へと移動したのかというと、観光バスの団体客がホームに押し寄せていて大変賑やかだったからなのです。しかも、その団体客は特に列車には乗らずにそのまま次の観光地へと行ってしまったという・・・せめて一区間だけでも乗ってあげれば、廃線危機が迫るローカル線の運営に寄与できるし、観光客も一種のアトラクションのような乗り物に乗って楽しむことができそうなので、Win-Winのような気がするんですけどねぇ・・・(列車のダイヤに観光バスのスケジュールを合わせるのが難しいからだと思うけど)

さて、鹿児島中央方面の列車が出発し、観光バスの団体客やマイカー&レンタカー訪問の観光客もいなくなってすっかり静かになった西大山駅でしばらく待機していると、目的の枕崎行きの列車がゆっくりとホームに滑り込んできました。



高校生を20人ぐらいと、地元の老人客と乗り鉄っぽい客を数名乗せた列車は、ゆっくりと枕崎へ向けて出発していきます。

開聞駅をすぎたあたりで日も暮れ、真っ暗な薩摩半島の南端を進むこと1時間ぐらいで、終点の枕崎駅に到着します。



以前訪問した時は、最南端の終着駅の割には駅舎もない中途半端な駅だったのに、今では新たな駅舎が造られ、駅前も綺麗に整備され、以前よりも扱いが良くなったように見えます。おそらく、「最南端の終着駅」が観光資源になると地元の人が気づいたのかもしれません。

あらかじめ予約しておいた枕崎駅の駅前にあるビジネスホテルに荷物とdoveplusを置いて、その近くにあった良さげな居酒屋へ突撃。お店の名前は「チキンマン」という、鶏に力を入れていそうなお店。



カウンター席にひとり座り、まずはビール。



あとは地元の焼酎を飲みつつ、いろいろ食べてみました。こちらは「ハラガワ」という、鰹節を造るときに余ったカツオの腹側の部分を焼いた酒の肴。ほどよく脂がのっていて、焼酎と良く合います。

他にも、新鮮な鶏のたたきや、焼き鳥など、めちゃくちゃ美味い肴と共に焼酎をガンガン飲み続け、この日は無事に終わったのでした。

今思えば、午前中は仕事、午後はバスや徒歩で日本最南端のJRの駅である西大山まで行き、そこから列車で枕崎まで行って酒を飲むという、盛りだくさんな一日でした。

ただ、天気がもっと良ければ山川駅からカルデラ湖を見に行ったり、薩摩半島最南端の長崎鼻に行ってみたり、そのへんの温泉にふらっと立ち寄ってみたりできたなぁなんて思いつつも、何だかんだでそれでも十二分に楽しめたから良しとしましょう!

 

続きます

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