NISHISAITAMA PROJECT

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福塩線沿いに輪行サイクリング

広島県内には芸備線という日本屈指の超ローカル線が走っていますが、この芸備線の塩町という駅から分かれる形で福塩線という、これまた超がつくローカル線が走っています。

福塩線の市街地部分は電車が走る比較的本数の多い通勤通学路線である反面、途中駅から非電化のローカル線となる、同じ広島県内の可部線と似たような雰囲気の路線となっています(可部線の非電化区間は廃止になりましたが)。

そんな福塩線は現在住んでいる同じ広島県内を走っているのに、本数が少なく、アクセスも悪く、さらに積極的に乗ってみたくなるような興味を惹かれる観光名所や素晴らしい景色が拝める区間もないく、当然のごとく乗る機会もなかったので、1x年ぶりぐらいに乗ってみることにしました。

なんせ、JR西日本が一部区間を廃止したがっている路線の中ではかなり上位に君臨し続けていて、乗れるときに乗っておいた方が絶対に良いんですよ(厳密には去年、神辺→福山は乗っているけど、ここは乗客が多いし井原鉄道も乗り入れているので将来的にも残ると思う)。

まずは、自宅のある広島市内の駅からJRに乗って福山駅を目指します。同じ広島県内なのに100km近く離れているので、気分的には東京から高崎とか宇都宮に行くような感じです。地元の人曰く方言も違うとか(実際に安芸国の広島と備後国の福山なので国が違う)。



少し前まで、大阪環状線とかを走っていたようなスタイルの電車に乗ってみます。ちなみに細かい話をすると、ホームの接近メロディーなどは広島周辺で使用されているそれではなく、関西圏と同じ物が使われているため、音響的にも大阪あたりにいる気分にもなれます笑

今回は福塩線に乗るのが目的ではありますが、全線乗り通しても、それではただの乗り鉄になってしまって面白くありません・・・というか、そもそも現在の福塩線福山駅から府中駅までは1時間に1~2本ほど本数が確保されていて、それほど乗るのは難しくはありません(それでも首都圏や京阪神近辺の鉄道路線と比べれば本数少なすぎですけど)。問題は府中駅から先で、こちらは朝と夕方に申し訳程度にちょこっと走ってて、日中は全く走らないという有様なのです。

そこで、どうせ府中駅で待ちぼうけを食らうぐらいなら、今乗っている電車に乗ってある程度進んだところで適当に降りて、そこからdoveplusで走ってみようかという、いつものノリで行ってみることにしました。

 

・・・

 

福塩線福山駅から府中駅の間にあるいくつかの駅の中で、その中でも珍しい名前の駅名に目がとまったので、その駅で降りることにしました。



駅家駅。駅名に「駅」が入るJRの駅など、全国探してもここだけでは・・・?

路面電車だと「○○駅前」みたいな駅というか電停はありますが、純粋に地名として「駅」が使われる駅名は他にはないような気がします。



ここから先はdoveplusで行きましょう。

福塩線に沿う形で延びている旧街道や生活道路を伝って府中方面へ向かっていきます。



可部線に比べると福塩線の沿線は住宅よりも田んぼや畑が多いので、よりローカル私鉄感が強い気がします。

駅家駅から3駅隣の上戸手駅の近くに「素戔嗚神社」を見つけたのでお立ち寄りしてみます。



実は「素戔嗚」が読めず、「これは一体何と読むのだ・・・」と、それで興味を引かれて立ち寄ったとか、やはりこの辺の知識がかなり欠如していると言わざる得ませんね・・・「素戔嗚」と書いて「すさのお」を読み、関西近辺に多い神社のようです(と思って調べてみたら、地元の埼玉県飯能市にもあったとは知らなかった)。

引き続き福塩線の横をひたすら走っていくと、福塩線を代表する中間駅の府中駅に到着します。府中市にある府中駅といえば、関東民にからすれば特急も止まる京王線府中駅が真っ先に思いつきますが、それとは比べものにならないほど小さい駅です。



福塩線はここで系統が分断されていて、ここで必ず乗り換えとなります。というのも、何度も説明しているとおり、ここまでが電化区間で、この先が非電化区間。福山からやってきた電車は機関車でも用意しない限り進むことが物理的に不可能なのですね。



これを見ると、快速のような赤い列車が12:32に1本あるように見えますが、こちらは沿線の高校が午前授業だったときに走る臨時の鈍行列車なので、土日に乗ることは不可能です。言い換えれば、土日だと朝の7時を逃すと15時まで8時間以上も待ち続けることになるわけであり、さらに言えば朝の7時に府中駅にたどり着くためには始発の新幹線を使っても無理なので、広島市から訪問した場合、この15時の列車が日帰りで乗ることができる始発ということになります。

現時点ではまだ12時すぎ。ここで3時間など待っていられないので、引き続き、福塩線に沿って先へ行きましょう。



ここから先は山の中へと入っていきます。この感じも、可部線可部駅から先の太田川沿いを行く雰囲気に似ています。



急にローカル色が強くなってきました。線路も若干サビが残っているし、本当に僅かな本数しか確保されていないことが分かります。



上下まで24km。

上下町というのはこの先にある町名で、これもなかなかに珍しい地名。珍名駅で降り立ったので、今度は珍名駅から乗ってみることにしましょう。

県道24号→県道56号という感じに、ひたすら芦田川の谷間を進んで行くと、旧・河佐町へと入っていき、少し開けたところにある集落の中心には福塩線の駅、河佐駅がありました。



福塩線は1980年代後半まではここから先も引き続き芦田川の川べりを進んでいたのですが、1997年に完成した八田原ダムを迂回する形で新線へ移行された一方で、県道はダムに向かってそのまま進んでいくので、ここで福塩線とはいったんお別れしてダムへ向かう急な登り坂を駆け上がることになります。

なお、帰宅してから周辺について調べ直して知ったのですが、福塩線廃線跡は遊歩道になっており、その終点には八田原ダムがあるようです。そして、そのダムにはエレベーターが付いていて、ダムの上まで楽々上がることが可能だったという・・・エレベーターに自転車をそのまま乗せるのは×でも輪行袋に入れれば行けそうな予感だったし、今思えばそういうルート取りの方が楽しかったかもしれません。何事も事前調査は必須ですね。

・・・

話を元に戻し、ダム越えの急な坂を登っていきます。ダムの高さは85メートルほどあるため、doveplusにとっては今回で最も厳しい区間となります。



途中で世羅町に入ります。



やっとダムの上に登れました。

八田原ダムの本体へのお立寄りは時間的に厳しくなってしまったため、訪問は割愛させて頂きます。



この湖の底を、かつては福塩線が走っていたのか・・・現在は写真右手の山の中をまっすぐトンネルで突っ切っています。



ダム湖がなくなり、福塩線の線路が再び現れたところにあるのが備後三川駅。駅舎は地元の集会所も兼ねているためか、この辺にしてはそれなりの大きさです。

ここから先は芦田川の支流である矢多田川と一緒に国道432号線を上下方面へと進んでいきます。

備後矢野駅を過ぎ、広島県立上下高等学校の脇を抜けると上下の町へと入っていくのですが、その上下の街中に突然現れるのがこの分水嶺



そもそも「上下」という町名の由来は、この分水嶺という説もあるようで、確かにこの街中にある分水嶺を見ると、そんな気がします。



分水嶺から自転車で3分ほど、上下駅に到着です。

あと20分で三次方面の福塩線がやってくるので、何気に時間ギリギリでした。なんせ福塩線は1日5本しか走っていないので、1本逃すだけで目も当てられない状況に追い込まれます。

まあ、上下駅について言えば、広島バスセンター行きの高速バスも夕方に2本ぐらい発着しているので、最悪それに乗れば良いし、むしろ高速バスだと我が家最寄りの中筋駅にも立ち寄ってくれることを考えれば、バスに乗った方が速くて便利ではあるのですが(しかもサイクルきっぷなる、自転車向けの切符もある)。

 

www.hiroko-group.co.jp

とはいえ今回は福塩線に乗ることが目的なので、そのバスに乗るのは次回にしておきましょう。時間ギリギリで上下駅に到着したおかげで、上下の街並みを見ることもできませんでしたし・・・



切符を買ってホームに立ってみました。もうすぐ福塩線の列車がやってくるというのに、誰もいません。



福塩線の列車がやってきたかと思ったら、こちらは反対方向で、交換待ちですね。その交換相手の列車に乗り込み、三次方面へと向かいます。



福塩線の非電化区間は、芸備線の東城~備後落合~備後庄原間と似たような雰囲気の車窓が続きます。

道中、特に川沿いを走るところでは極端に速度制限がかかる場所も多く、距離の割にはえらく時間がかかりますね。自転車で移動するぐらいならこっちの方が便利かなというレベルで、ここまで来ると地元の高校生と免許返納した老人以外はまず福塩線を利用することはないかと思います。



塩町駅芸備線と合流し、福塩線としてはこちらで終わりとなります。

ただし、乗ってる列車自体はここが終点ではなく、芸備線に直通して3駅先の三次駅まで乗り入れます。



三次駅では芸備線の広島行きに接続しているので、そのまま乗り換えましょう。ただし、急いでいるときは芸備線ではなく、駅前に停車中の高速バスを使った方が速く到着できる場合が多いので、それを使うのも手かもしれません(もっとも、わざわざ福塩線に乗る人がここでバスに乗り換えるとは思えませんけど)。

その後は、福塩線に比べれば高速化された芸備線に乗って自宅最寄り駅へと向かったのでした。

というわけで福塩線を全線に渡って乗車してみたり、途中では併走して走ってみたりと内から外からいろいろ眺めてみました。やはりというか、特に温泉地や有名観光地などない非常に地味な路線ではありましたが、doveplusという折りたたみ自転車があると、快適で楽しいサイクリングというかポタリングができるし、個人的にこういう楽しみ方をする分には十分楽しめるところだと思いますね。

 

次また行く機会があれば、今度は上下駅からスタートして三次や庄原方面へ向かうようなルートにチャレンジしてみましょう。

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