(前回からの続きです)
宮崎交通による路線バスで上椎葉まで無事に行くことができたので、あとは帰るだけです。前回の記事で説明したとおり、一般的な日帰り行程ならば、そのまま30分後に引き返すバスに乗って戻る手段しかないのですが、今回は広島の自宅からわざわざ持ってきたDAHON Dove Plusがあるので、帰りはこの自転車に乗って帰りました。
上椎葉から麓の日向市まで約75km、上椎葉が標高500メートルぐらいの場所なので、緩やかに下っていけばそれほど苦労しなそうだし、25kmほど先の諸塚村の塚原まで行けば帰りのバスもあるので、パンクなどの想定外のトラブルさえ発生しなければ野垂れ死ぬことはなさそうです。
とりあえず出発前に腹ごしらえということで、バスの運転手さんから仕入れた情報を元に、バス停の少し先にある土産物屋兼食堂へ行ってみました。
その実態は、トーフやさん?
椎葉村といえば蕎麦が有名なので、とろろぶっかけ蕎麦を注文してみました。ぶっかけ蕎麦ってところが西日本っぽいですね。
美味しい山菜の天ぷらと漬け物、椎茸茶をサービスして頂けました。そばも美味しかったし大満足!
店を出て少し奥に進むと神社が見えてきたので、ご挨拶がてら訪問してみました。
椎葉厳島神社。厳島神社と言えば源平合戦で敗北した平家が信仰していた神社として有名な神社なので、こういうところからもここが平家の落人部落だったことを窺い知ることができます。
せっかくなのでもう少しだけ奥地へと行ってみましょう。徒歩だと厳しい数キロの距離でも自転車ならささっと行けるので、この辺は本当に良いですね。登りは辛いですけど。
上椎葉ダム。100メートルの高さを超えるアーチ式としては日本最古のダムだそうで、非常に見応えのあるダムです。このダム自体は数年前にも訪問しているので、下から眺めるだけにしておきますか。けっして上まで登るのが億劫だったわけではないですよ!
ic-yas.hatenablog.com↑前回、上椎葉ダムに訪問した時のお話
では、改めて日向市方面へと向かいましょう。
新緑の緑が目にまぶしい。
国道265号線を日向市方面へ進んでいくと、椎葉村の市街地のど真ん中にある滝に目がとまります。
六弥太の滝。こういう滝が、村の中心地に普通にあるのがすごい。
下椎葉の集落をすぎると、国道265号線と国道327号線の分岐点が見えてくるので、ここは国道327号線を選択します。まあ、九州最強の酷道265号線も、椎葉~五ヶ瀬~阿蘇は国見トンネルが開通したおかげでそこまで酷道でもないので、そちらに行くという手もあったんですけど、それはまた別の機会に。
岩屋戸ダムが形成するダム湖に沿って走っていると、片側通行規制の区間が登場。
信号は守りますよ? ちなみにDove Plusは重量がかなり軽いので、水曜どうでしょうのだるま屋ウイリー事件のごとく、ウイリーしかねないのですが、自転車なのでウイリーしてもそれほど被害はありません(何の話しだ)。
自転車だと酷道のような狭隘道路であっても、壁をこすったり崖から落ちたりする怖さはないとはいえ、対向車がいきなり飛び出してくる可能性のあるブラインドカーブの連続となれば、やはり神経は使います。まさか対向車も、こんなところを自転車が走ってくるとは思っていないだろうし。
また、国道327号線の椎葉村から諸塚村にかけての酷道が解消されたバイパス区間ではトンネルが多く、当然ながら歩道も整備されていないので、そういうときは旧道に迂回します。
ところが、旧道経由だとあまりにも遠回りだったり、そもそもトンネルの入口に旧道への道がなかったりする場合はトンネルに突撃せざる得ない場所もあったりします。それが野地トンネル。
全長1019メートルで下り片勾配のトンネルは自動車で移動するには全く問題なくても、簡易的なライトしか付けてない折りたたみ式自転車にはスリル満点でした。というのも、トンネル内部は照明が全く点灯してない真っ暗なゾーンがあり、手持ちのライトではほとんど無意味なぐらいの暗さだったので、今度来るときはもう少し明るいライトを複数個持ってくることにしましょう・・・!
数々のトンネルや酷道区間を頑張って走り抜け、塚原ダムを越えると、諸塚村へと入っていきます。
行きのバスで休憩した塚原バス停付近。ここまで来れば帰りのバスもあるので、万が一何かトラブルが発生したとしても一安心です。
諸塚発電所の付近、現道であるバイパスは急なアップダウンとトンネルが続くため、非力なDove Plusは迂回した方が遠回りでも楽なので、旧道へ。
現道のあの急勾配&トンネルを進む元気も勇気もないですね!
上椎葉から35km、全行程の折り返し地点を迎えたあたりで、諸塚村を抜けて美郷町(旧・西郷村)に突入します。
この辺まで来ると標高が下がったためか勾配もなだらかになり、気温も上昇し、さらに海から山へと吹く風が強くなってくるため辛くなってくるところではありますが、道幅も広く道路も直線になるので、体力と筋力さえあればむしろ走りやすくなるかと思います。
そんなわけで、あと30km頑張るぞ! と思った矢先、なんとここで知り合いとばったり遭遇。
何でも「椎葉から折りたたみ式自転車で日向に向かうと聞いて、心配してやってきた」とのこと。こちらとしては体力的にも気力的にも全然余裕で、これから本番!と思っていたところだったので、そのまま日向市まで続行するつもりだったのですが、せっかくなので車に乗せて貰って帰ることにしました。一般的な自転車しか知らないような人から見れば、こんなにタイヤの小さい普通の折りたたみ式自転車で75kmも走行するなど前代未聞、言語道断と言ったところなのでしょう。たぶん自分も数ヶ月前なら同意見だったと思います。
ちょっと不完全燃焼なところはあったとはいえ、Dove Plusのポテンシャルも見ることができたし、山間部の長距離走行の感覚もつかめてきたので、この続きというか、上椎葉から日向への完走はまた次回へのお楽しみと言うことにして、ここで終了です。
中途半端なところで終了するのもアレだったので、最後に「おせりの滝」まで行きました。
いつみても見事な滝!
といったところで、日向・椎葉往復の旅は終わりとなりました。最後まで自転車で走りたかった気持ちはあるので、また別の機会にチャレンジしましょうか!
次回は、宮崎から広島まで帰るお話をお伝えします。