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宮交の路線バスで行く椎葉村

主に酷道巡りを兼ねて毎年訪問している、日本でも指折りの秘境とすら言われる椎葉村。その椎葉村へはいつもレンタカーで訪問していたのですが、椎葉村へは麓の日向市から宮崎交通による路線バスも運行されており、この路線バスに前々から乗ってみたい常々と思っていたのです。

この宮崎交通による椎葉村へ行く路線バス、公式な情報がないとはいえ、宮交の一般路線バスではトップクラスの長距離路線だろうし、走行時間としては間違いなく最長時間を誇る路線だと思われます。というのも、日向市から椎葉村の中心地まで距離にして約75km、乗車時間はなんと2時間40分。まあ、紀伊半島にはもっとすごいバスがゴロゴロしているのでそれらに比べればかわいいバスですけども。

さらに調べてみると、2019年現在、日向~椎葉間は2.5往復(火・木は+1往復)のバスがあるのに、日帰りで日向市から椎葉村へバスで行くとなると日向9:30発で行き、上椎葉12:50発のバスで戻らなければバスでの日帰りは不可能と言うことが判明。上椎葉着が12:10なので、路線バスで椎葉村に行くと最大滞在時間が僅か40分となり、下手すれば昼食すら食べることもままならないのです。

www.vill.shiiba.miyazaki.jp
実を言えば、この滞在時間の問題があって、数年前から椎葉村へのバス訪問に手をこまねいていたのです(椎葉村に宿泊すれば解決するんですけど)。

そこで登場するのが、先月購入した折りたたみ式自転車のDAHON Dove Plus。

答えは簡単で椎葉村までバスで行って、自転車で山を下ってくれば良いんじゃね?」という発想の元、バスに自転車を積んで行ってみることにしました。

 
まずは上椎葉行きの路線バスの始発ターミナルであるイオンタウン日向へ。



路線バスのターミナルと言えば一般的に街を代表する大きな駅となるのに、ここでは駅よりもイオンタウンが重要視されているようで、こちらがターミナルとなっています。もちろん宮崎交通の営業所も併設されています。

Dove Plusを折りたたんでバスを待っていたら、定刻通りに上椎葉行き路線バスがやってきました。



最近の情報によれば、この時刻の路線バスはポンチョと呼ばれるコミュニティバスなどで使用される小さいバスを使われるはずだったところ、やってきたのは普通の路線バス。個人的にはこっちの方が乗り心地良さそうだったし、自転車もあったので願ったり叶ったりだったんですけど。

自分含め2人の乗客を乗せて上椎葉へ出発。イオンタウンを出ると真っ直ぐ国道327へ向かうのではなく、日向市の高校や病院などの主要施設を周りながら乗客をかき集めて行きます。

イオンタウンを出て10分で日向市駅に到着。



延岡方面はともかく、宮崎空港方面から来る日豊本線との特急との接続は全く考慮されていないので、駅から乗ってくる乗客も地元の高校生とおばさんの2名で観光客は皆無。一応、ゴールデンウィークなんですけど?

ここから先は国道327号線を使って、ひたすら椎葉村へと突き進んでいきます。



椎葉まで72km! 日向市から宮崎市ですら65km程度だというのに・・・

切通バス停付近で小さい峠を越えると旧東郷町に入り、国道327号線と国道446号線の分岐点にある道の駅とうごうに到着します。

道の駅の中にバス停があり、降車客がいたので停車したのだろうと思いきや、ここでは10分のトイレ休憩が入ります(なお、アナウンスなどは一切ありません)。



この道の駅では旧・南郷村方面へ向かうバスに接続していることもあり、ここで乗り換えることもできるようです。また、道の駅で10分程度の停車時間を設けることで、バス利用客がついでに道の駅などで買い物もできるため、ちょっとした経済効果もあるほか、バスの運転手さんがここで休憩や昼食を調達することも可能なので、たった10分の停車が思わぬ波及効果をもたらしているようです(と、地元の新聞に書いてあった)。

・・・

買い物客を待っていたのか、5分ほど遅れて出発です。かなり緩い感じになってきました。

東郷町の町内で数名の乗客が入れ替わり、バスは椎葉村へ耳川に沿って進行していきます。



日向市を発って1時間以上経過しても、周辺の山並みはまだ低く、秘境・椎葉村にはほど遠い感じ。

美郷町(旧・西郷村)に入ると、耳川をせき止めている西郷ダムが現れます。そのダムによって造られた細長いダム湖の湖畔には石峠レイクランドというレジャー施設があるので、バスはそちらへ寄り道します。



バス停名はレイクランドではなく「西郷温泉美々川、バスを使ってくる乗客は温泉に入る地元客ぐらいだろうって事なのでしょう。実際に、東郷町から乗って来た最後の乗客であるおじさん1名ここで下車しました。こんな1日に数本しかない路線バスを使って温泉に行くとは・・・!

ちなみにここ、2年前に訪問しております(詳細は↓)。露天風呂からの眺めが良くてオススメ。

ic-yas.hatenablog.com

再び国道327号線に戻ったのもつかの間、今度は美郷町の役場がある集落へと迂回していきます。

美郷町の中心地を通り抜けて国道327号線に戻ります。この時点で乗客は自分一人で貸し切り状態になりました。これならポンチョどころかハイエースでも十分なぐらいの乗客数ですね・・・平日なら通学需要や通院需要もありそうですけど、満員になることはまずなさそうな。

急カーブも少なく道幅も広い国道327号線を法定速度で飛ばしていくと、バスは諸塚村へ突入していきます。この諸塚村の中心部から少し外れたところにある塚原(つかばる)バス停でもトイレ休憩となります。



道の駅とうごうとは異なり宮崎交通の営業所があるだけなので、トイレと自販機と喫煙所ぐらいしかありません。なので、写真だけ撮って早々とバス車内に戻ったら運転手さんとの雑談タイムに突入。いろいろ伺ってみると、やはり外部からバスを使って椎葉村へ行く観光客など、そう多くはないみたいでした。

塚原を出ると国道503号線と別れた国道327号線は恵後の崎トンネルを通って真っ直ぐ塚原ダムの上へと行くルートを取るところ、路線バスはそのトンネルの手前で旧道へと曲がります。



最後部座席から後ろを見てみると、その道の狭さがわかります。道路の幅は1.0~1.5車線程度で、普通乗用車でも酷道走行に慣れていない人では走るのをためらってしまう悪路を、バスはスルスルと進んでいきます。



コーナーではガードレールまで20cm程度まで近づくとか、攻めまくりです。頭文字Dかよ。



旧道ルートを抜けて現道と合流すると、塚原ダムが登場します。なんでも戦前に造られたダムの中では最も大きなものだとか。

塚原ダムをすぎると、バスの方はついに椎葉村へ。椎葉村に入ると、今まで快適だった国道327号線酷道へと変貌し、複雑に曲がりくねった狭隘区間を慎重に進んでいきます。



旧道とは異なり、対向車もそこそこいるので運転する方も、それを迎え撃つ方も大変(だと思う)。



椎葉村内の国道327号線も改良工事が随時行われていて、場所によってはバイパスなども完成しています。なので、あと10年もすれば酷道区間はなくなりそうですが、集落は旧道沿いに形成されているため、路線バスはバイパスを使わずに旧道を進んでいくので時間が掛かるのです。



この辺まで来ると、ダム湖の水も透明度が高くて綺麗。真夏なら泳いでも良さそうなぐらい・・・かなり冷たそうだけど。

途中で2名ほどの地元客を拾い、あの九州最凶酷道とささやかれている国道265号線と合流すると、まもなくこのバスの終点である上椎葉に到着します。ここまで2時間40分、長かった!



しばしの休憩のあと、このバスは40分後にイオンタウン日向に向けて出発していきます。大変だ。



すべてを埋め尽くす圧倒的料金表。ちなみに日向市から上椎葉へ行く場合は、たとえ片道であっても1800円の一日乗車券を使った方が断然お得です。でも、大赤字路線であることは疑いの余地なしなので、あえて正規料金を支払うのもありかもしれません。日向市駅では使えないSuicaも使用可能です。

www.miyakoh.co.jp↑ここで挙げられているどのモデルコースよりも上椎葉往復がお得ですよ!!





村営バスに乗り換えればさらに椎葉村の奥地へと進むこともできます。日曜日以外なら一部村営バスも20~50分程度で接続しているので、それに乗ってみるのもまたありかもしれません(が、それをやると日帰りは不可能です)。

といったところで、続きます。

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