NISHISAITAMA PROJECT

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新年早々、川内川川下りでトラブった話 後編

前回からの続きです。

doveplusに何が発生したのかというと・・・



チューブが突然膨らんでしまったのです。

今までも通勤で使っているクロスバイクでは何度か経験があるし、パンクではないから今すぐ問題があるわけではないとはいえ、チューブが膨らむとバーストの可能性が高まり、控えめに言ってかなり危険です。特に下り坂を高速度で下ってるときや、交通量の多い道をトラックなどと並走しているときにチューブが破裂したりすると、条件によっては大惨事になりかねないし、そうでなくても、こんな真冬に人里離れた山奥で走行不能になったら命に関わります。

なので、いったんチャリを止めて今後のルート選択について、しばし考えてみました。


まあ、鉄道が廃止になってしまうような場所ゆえ、今すぐ何らかの交通機関に乗って即座に脱出など期待できないし、この先どうするかと言えば「勇気ある撤退」か「doveplusを信じて前進」の2択となります。

 

 

まず「撤退」ですが、今から戻ったとして、最寄り駅の栗野駅までは20km。

ただ、戻ったところで本数も少ない肥薩線なので、その先も鉄道の乗り継ぎ的に厳しそうです。なんせ、本日の宿は鹿児島の北西部にある川内(Sendai)駅の近くで、栗野駅から川内駅までは移動するだけでもかなりめんどくさいことになりそうですね。鉄道自体は終電(電車じゃなくて気動車だけど)が割と遅くまであるので行き倒れの可能性はほぼないですけども。


 

一方の「前進」ですが、こちらはまだ50km近く行く必要があり、さらに現在地から宮之城の街までは無人地帯を行くことのなるため、トラブルが発生したらそれこそ詰みます。それに付け加えて、行動不能になっても路線バスなどあるかどうかすら不明です(事前調査によると宮之城線の廃止代替バスは本数は1日数本しかなく、薩摩大口駅から宮之城駅を通って川内駅まで行くバスは、現在は存在しないことがわかっていた)。

そんな究極の選択を迫られた中、出した答えは「前進あるのみ」

というのもチューブが膨らんでも、経験上50kmぐらいなら走れるような気がするし(通勤用のクロスバイクは50km以上余裕で走った)、それに20km戻るのも50km進むのも、ぶっちゃけ大差ないだろうということで、引き続き進むことにしました。

とはいえ、風景などをのんきに眺める精神的余裕などまったくなく、全神経を後輪に集中させ慎重に進んでいったため、途中の見どころスポットはほぼ立ち寄らずに寡黙なサイクリングとなりました。



曽木の滝。10年ぐらい前に一度、ドライブで立ち寄っていたので、再訪問したかったんですけども、往復2kmの道のりが怖くて訪問できず、遠くから眺めるだけ。

ここを超えると、鶴田ダムが造り出す大鶴湖の湖畔を行くようになります。ただこの先は、いわゆる「険しい道」と書いて「険道」で、軽く地図で確認する限りでは、15kmぐらいは集落など一切ない無人地帯となっています。さらに行き交う車もほとんどないところなので、こんなところでチューブがバーストしたら夜通し歩き続けることも覚悟しなければなりません。



今まで広くて快適な堤防道路だったはずなのに、島根の山の中のような険しい道路になりました。



アップダウンもきつく、登り坂ではチャリを押して歩き、下り坂では負荷をかけないようゆっくり慎重に進んでいきます。



歴史を感じさせる、古くて立派な吊り橋なんかもあって、雰囲気的には良い感じです。いつもならあらゆる角度から写真などを撮って最大限楽しむところ、今回は残念ながら楽しめませんね・・・



こちらが鶴田ダム。10年前に訪問したときも工事していたのに、まだ工事しているとは。

そして、鶴田ダムからの下り坂を静かに下っていき、さつま町の人家が見えてきて一安心したところで、ついに恐れていたことが発生しました・・・!

ようやく、宮之城線と並走していた国道267号線が見えてきて、ここから先は安定した道路を走れるから大丈夫だろうと思ったその時、気が緩んでしまったのか、後輪に余計な負荷がかかってしまったようで「パンッ!!!」という音を発しバースト発生!

ある程度覚悟はしていたので、なぜか意外と冷静でしたけど・・・現時点で16時すぎ。

幸いなことに日本の西の果ての鹿児島は1月上旬でもまだ明るく、そういう意味では助かりますが、だからといって仮にここから30kmも歩くとなれば、休み無しで8時間は見ておく必要があります。最悪の事態を想像しつつ、とりあえずGoogleで調べてみたら数キロ歩けば宮之城線の代替バスのバス停があって、最終便にはギリギリ間に合うことが判明。とにかく、できる限り川内駅には近づいておきたかったので、気合い入れてバス停まで急ぐことにしました。



なんとかバス停にたどり着き、バスの時刻を確認すると南国交通の終バスが来るようです・・・が、どういうわけかGoogleマップでは提示されていない路線だし、南国交通のホームページで確認してもこのバスが実在しているかどうかすら不明で、極めつけは終点が川内駅ではなく、ずっと手前の宮之城までという有様。とはいえ少しでも先へ行きたかったし、乗ってしまえばなんとかなるだろうということでバス停で待機。バスに乗らなければ宮之城すらいけませんし・・・

ところが、定刻を過ぎてもいっこうのバスが現れません。10分待っても来なかったので、しびれを切らして営業所に電話をかけようとした、そのとき・・・!



やってきました! 助かった!

バスに乗ること30分ぐらいで、旧・宮之城駅に到着。しかし、ここでとんでもない現実を突きつけられます。

どういうことかと言えば、バスを降りる際に運転手さんに

「ここから川内まで行きたいんですけど、この先のバスありますか?」

と訪ねたところ、その回答は

「バスないよ! これからどうするんだ??」

とのこと。時刻の方は18時を過ぎているし、その運転手曰く

「タクシーもこの時間だと無理だから、どうしようもないねぇ・・・がんばって!」

と、絶望的な回答をもらいつつも、仕方なく下車。



近くには宮之城線をモチーフにしたモニュメントなんかもあったらしいのですが、そんなところまで行く余裕もなく・・・

でもまあ余裕がないとは言いつつも、何かしら行動しないからには、この現状を打破できないので、必死になって再びGoogleさんを活用して調べてみると、「JRバス北薩線の最終バスで入来まで行き、鹿児島空港から来るエアポートシャトルバスで川内へ行くルート」があるとのことが確認できました。途中の入来など、宿泊施設などなさそうな山の中なので、本当にこのルートで良いかどうか何度も何度も確認した上で、行けると判断。これしかないぜ!(実際にこれぐらいしかないんですが)

真っ暗になった宮之城駅で1時間待って、鹿児島中央駅行きのJRバス北薩線に乗車します。もちろん終バスです。



このバス、実は入来の手前ぐらいまでは宮之城線に並走していて、明るければ廃線跡も確認できたっぽいのですが、真っ暗なので何も確認できず、暗闇の中をひたすら進んでいきます。

 

宮之城を出てから30分ほど、入来中学校前バス停で下車。宮之城駅周辺以上に真っ暗という有様で、素直に中央駅まで行くべきだったかもと一瞬、思いつつも、もうあとには引けないのでバスを降ります(今思えば中央駅まで行って、鹿児島本線か新幹線で川内駅行くのが一番確実だったけど、まあ終わった話なので良し。それにそのルートはけっこう時間がかかる)。



ここで、20分待つと、エアポートシャトルバスがやってくる手筈になっているので、それを待ちます・・・本当に来るのか?? そもそも、エアポートシャトルバスって要するにリムジンバスなんだろうけれども、途中からリムジンバスに乗って空港と反対側へ行くことなんてできるのか???

などと、不安になりつつもバスを待っていると、暗闇の中、高速バスのようなバスがゆっくりとやってきました! 

そんなわけでなんとかエアポートシャトルバスに乗って川内駅まで移動して、無事に目的地にたどり着くことができました!!

今まで国内海外含め、いろいろと危険な旅程をこなしてきたつもりですが、間違いなく今回の行程は、今までで一番スリルがあったような気がします笑



南国交通さん、本当にありがとうございました! 北薩線を運行してくれたJR九州バスさんにも大感謝です!



さて、無事に川内駅までたどりついたところで、もう肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいだし、適当にスーパーやコンビニで食材買い込んで、ホテルの温泉入ってさっさと寝ようかと思いきや、なんとホテルの温泉大浴場に入れないことが判明。というのも、今回お世話になったスーパーホテルは大浴場が1つしかなく、時間帯によって男湯になったり女湯になったりするわけで、調べてみたら22時まではいれないとのこと。スーパーホテルあるあるですね。

大浴場開放まで2時間近く待つことになるし、それだったらということで、川内の飲み屋街を徘徊して良さげな店に突撃してみました。

今回訪問したのはこちら。網ごころさん。



南九州に来たら、やはり一回は食べておきたいのがこちらですね。鶏刺し。

これは期待通りというか、期待以上に本当にうまい。特にここのは美味かった! これ食べられただけでも、わざわざ川内まで気合と根性でやってきた意味ありましたよ。


また、メインはおでんとのことで、おでんもいくつかチョイス。これも最高に美味しい。近所にあったら通いたくなるぐらいの旨さ。どうやったらこんなにうまくなるのか・・・!

焼酎の方は薩摩川内の「蔵の神」のみという潔さで、それが1杯200円という破格値なのに、なみなみと注いでくれるありがたいサービス。おでんや焼酎含め、これで利益出ているのか心配になるぐらいのコスパ最強のお店でした!

なんだかんだでガッツリ飲み食いし、宿に戻って温泉に浸かりまくり、帰り際にコンビニで買ってきた焼酎・蔵の神で一人二次会を開催しつつ、就寝となりました。終わり良ければ全て良し!! でももう、二度とやりたくないね!!

続きます

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