前回からの続きです。
玉野市電の廃線跡や未成線を追って児島まで来てみると、ちょうど目の前に下津井電鉄の児島駅が現れました。
調べてみると、下電児島駅のホームや駅舎などは、当時の状態で残されているようです。中にも自由に入って良いみたいなので入ってみましょうか。
頭端型ホームですね。
なんでも、かつては宇野線の茶屋町駅から児島を経由して下津井まで走っていた下津井電鉄。モータリゼーションの影響で茶屋町駅〜児島駅は1970年代前半には廃止となったものの、その先の下津井駅までは1990年頃まで残っていて、晩年の頃はここが始発駅だったのです。
つまりは末端部分だけが残って、唯一の乗換駅がある区間が先に廃止となり、ほかの鉄道路線と一切接続のない、完全に独立した路線だったようです。そんなのでは使い勝手悪いのでは?とも思うところですが、詳しいことは色んな人が色々考察しているので、興味があれば各自調べてもらうとして、とにかく今はこの先の予定をどうするか考えましょう。
当初の予定では国道430号線を伝って、玉野市電の最終的な目的地である水島まで一直線に走り抜けるつもりでここまでやってきたのです。朝の時点では小雨も降っていたし、薄曇りの中の水島臨海工業地帯を駆け巡って、最終的には新倉敷駅あたりから山陽線に乗れればいいや的なノリでした。でも、今となっては素晴らしい快晴に恵まれたし、これはもう景色が良さそうな下津井電鉄の廃線跡、通称「風の道」を走ってみるしかないと即決し、玉野市電の未成線から下津井電鉄の廃線跡へと乗り換えたのでした。
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早速、下津井電鉄の廃線跡「風の道」を走ってみると、ほかの廃線跡とは違って架線柱やそれにくっついている信号(のようなもの)まで、いくらか残されていることに気付かされます。
ちなみにこの風の道、廃線跡では良くあるサイクリングロードではなく、厳密には「遊歩道」なので、自転車ではちょっとだけ走りにくいかもしれません。というのも、全行程の半分以上は廃線跡が舗装されていないダート状(公園で良くある土の地面の上に砂をまいたような感じ)のため、予想以上に自転車のペダルが重くなります。マウンテンバイクのような自転車ならむしろ楽しめそうな感じです。
JRの瀬戸大橋線(正式には本四備讃線だけど誰も気にしない)をくぐると児島の市街地を離れ、ちょっと行くと琴海駅のホームが見えてきます。
JRや高速道路が貫く山の斜面に作られた琴海駅。瀬戸内海の眺めは良いのですが、集落は崖の下の海岸線にあるため、実際ここを利用するのはちょっと大変だったように思えます。
左手にはボートレース場なんかもあるので、鄙びた漁港という感じはそんなにしないですね。
琴海駅でひと休憩してから先へ進みます。
切り通し状になっている森の中を進んで行き、瀬戸大橋線の線路に比べると幅の広い高速道路をくぐると鷲羽山駅に到着です。
そのままスルーして行くつもりだったのですが、「↑真正面から瀬戸大橋が見える展望台」という案内が目に止まってしまったので、誘惑に負けて展望台までいってみることに。昔からこういうガイドブックに乗っていないような案内板を見つけてしまうと、どうもスルーできない性分なので・・・・
展望台の入り口付近にdoveplusをくくりつけて、ダッシュで登っていきます。すると、目の前には・・・
おお、これ今まで見たことのないアングルからの瀬戸大橋!
写真で見ると地味ですが、実際にみてみると、目の前の巨大な瀬戸大橋に圧倒されると思います。ここはわざわざ立ち寄る価値はあると思いますね!
展望台に満足したところで、先へと急ぎましょう。
鷲羽山駅のすぐ隣の東下津井駅を通過すると、線路は終点の下津井駅に向けて一気に崖っぷちを下っていきます。
足元が若干ぬかるんでいて自転車だと走りにくい上に、虫も多くて立ち止まることが許されなかったので「風の道」という爽やかなネーミングから程遠い感じですが、ここまで来たなら最後まで忠実にトレースしておきましょう。
足場の悪い下り坂を進んでいくと、終点の下津井駅の構内へと入っていきます。
いわゆるナローゲージという軌間(線路の幅)が狭い線路だったので、よくある鉄道線路に比べても小さい印象を受けます。
線路や車両も残っているし、もしかしたら将来的には「下津井駅の駅構内を電車が走るような光景」をふたたび見ることができるかもしれませんね。ただまあ、ほかの動態保存している非電化廃線鉄道とは異なり下津井電鉄は電車なので、架線を張り巡らして電気を通したり、変電所なんてのも作る必要があるだろうから、実現難易度はかなり高そうな予感がします。
こうしてみると、今でも現役の鉄道路線に見えなくもないです。
・・・
さて、下津井駅まで来たところで地図を確認すると、そのまま海岸線を北上して水島方面へと向かう道路があることが判明。それを使って国道430号線へ復帰することにしましょう。
アップダウンの激しい幅の狭い海沿いの山道を30分ほど走り抜けると国道430号線へと合流し、そのまま今度は国道を使ってさらに進んでいきます。
なお、この区間、ずっと水島臨海工業地帯の巨大な工場の脇を自転車で走り抜けていたのですが、あまりの暑さで立ち止まる気が全く起きず、写真を一切撮っていませんでした。気温が上がりすぎると周りの風景を眺める余裕すらなくなるし、この時期に自転車を乗るのも考えものですねぇ・・・まあ、18きっぷで安く行動できるし、そのトレードオフといわれればそれまでですけど。なんせ、18きっぷの1日分の金額の実質2410円でこれだけ楽しめるのですから、文句はありません(この日のJRの乗車券を普通に買うと、乗車券だけで6000円以上かかる)。
そして、下津井駅から15kmほど走り、ついに玉野市電の最終的な目的地となっていたであろう、水島駅に着きました!
少し涼しくなってきたおかげで体力的にはまだまだ行ける感じでしたが、さすがにそろそろ撤退しておかないと帰宅時間が遅くなりそうだったので、ここでdoveplusを畳んであとは水島臨海鉄道で帰ることにしましょう。「玉野市電から水島臨海鉄道にお乗り換え」ですね。